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デューデリジェンスに強制力はあるのか

デューデリジェンスは、M&Aの実施において重要なプロセスです。しかし、売り手企業と買い手企業の合意に基づいて行われるものであるという前提があります。ここでは、デューデリジェンスにおける強制力や、さまざまな制約について解説しています。

デューデリジェンスにおける強制力

デューデリジェンスは、M&Aを行うにあたって行われるべき過程ではありますが、強制力はありません。デューデリジェンスは、売り手企業と買い手企業の合意に基づいて行われるものです。そのため、売り手企業がこれを拒否した場合、それ以上調査をすることはできません。

実際に、売り手企業から情報の一部が提供されなかったり、日程や対応者に制限を付けられたりして、買い手企業が必要としているすべての情報が手に入らないということも、珍しいことではないのです。

このように、担当者から必要なインタビューができなかったり、依頼した資料が入手できなかったりする場合、デューデリジェンス実施者は、代替手続きを検討しながら、一定の心証を得るために努力しなければなりません。それでも、一定の心証が得られない場合、買い手企業になるべく早い段階で相談して判断を仰ぎます。買い手企業としては、リスクを承知でM&Aを実施するか、あるいは中止をするかの判断をしなければなりません。

デューデリジェンスが受ける制約

デューデリジェンスには、強制力がない上、実施するにあたっては、さまざまな制約をうけることがあります。

協力者の制約

M&Aは通常、経営者を含む、ごく限られた関係者だけで秘密裏に進められます。そのため、デューデリジェンスを行う場合も、社内の協力者は、必然的に限定されてしまうのです。

たとえば、財務デューデリジェンスを行う場合、経理担当者とのやり取りが必要であり、その協力は非常に重要です。しかし、経理担当者がM&Aが行われようとしていることを知らないケースでは、財務デューデリジェンスは非常に難しくなります。

経営者が、財務や経理について把握していれば、経営者にその役割を担ってもらうことができますが、そうではなく、経理担当者に任せきりの場合、顧問税理士に協力を求めたり、経理担当者に本来の目的を告げないまま、資料の提供を依頼したりなどの方法を考えなければなりません。

手続き上の制約

財務デューデリジェンスの場合、財務諸表管理では一般的に行われている手続きでも、デューデリジェンスにおいては実施できないものもあります。例えば、取引先に対する確認書送付による残高の直接確認は、財務諸表監査では重要な手続きですが、財務デューデリジェンスでは通常、行われません。また、在庫に関する実地棚卸の立ち合いやテストカウントも、従業員の協力と事前準備が必要になるため、行われることはほとんどありません。

このように、デューデリジェンスには、手続き上の制約が生じる場合があります。

作業日程・場所の制約

デューデリジェンスは秘密裏に、かつ、迅速に行われることが求められるため、現場作業はできるだけ短い期間で、効率よく行われることが求められます。場合によっては、従業員に知られないようにするため、休日や夜間に行われることもありますし、対象企業ではなく、近隣ホテルや顧問税理士の事務所などで行われることも少なくありません。

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