• Facebook
  • Twitter

デューデリジェンスの種類

デューデリジェンスは「Due(当然の)」「Diligence(努力)」という意味を持つ言葉であり、しばしば「デューデリ」「DD」などと略されることがあります。これらはその目的に応じて行う調査のことであり、M&Aの場面でも買収監査として行われることが一般的です。

デューデリジェンスは6種類

デューデリジェンスの種類を表す図

デューデリジェンスはその目的に応じてさまざまなものがありますが、M&Aなどの場面において最も活用される、企業の資産価値を図るためのデューデリジェンスは事業・財務・法務・人事・税務・ITの6つが一般的です。

事業(ビジネス)デューデリジェンス

事業デューデリジェンスはビジネスデューデリジェンスとも呼ばれており、対象となる事業の状況やそれを取り巻く市場などの外的環境も含めた分析・評価を行うものです。特にM&Aの場面においては「事業に旨味があるかどうか」「将来性が見込めるかどうか」「直近の決算状況を継続的に維持できそうかどうか」などといった企業価値の算定に大きく影響する要素となります。

財務デューデリジェンス

企業の財務面に焦点をあてたデューデリジェンスです。決算書に現れている財務状況が実態を表しているかどうか、また資産や負債の時価評価を行った場合に純資産額がどれくらいの金額になるかなどを分析します。決算書は必ずしもその会社の財務状況を適正に表しているとは限らないため、資料の確認や実査、分析を行う必要があります。

法務デューデリジェンス

対象となる事業や企業において、法的なリスクがないか、あるいはリスクがあると判断される場合にそのリスクの幅がどれくらいかを分析するデューデリジェンスです。契約上のリスクや法的な責任論がどう関与してくるかを分析することで、事業譲渡や株式譲渡の実行時・実行後におけるリスク要因・ケアすべき点などの洗い出しが行えます。

人事(労務)デューデリジェンス

企業の人事・労務全般にかかるデューデリジェンスです。人事考課や人員制度をはじめ、給与体系・退職制度など会社組織における人事の状況について調査を実施します。M&Aの世界においては譲渡後の統合としてPMIも重要論点の一つとなるため、被買収企業の状況をしっかりと把握しておく必要があります。

税務デューデリジェンス

税務上のリスクについて調査を行い、税務的リスクが存在しないかどうか、あるいは存在する場合にどの程度のリスク(追徴課税など)が想定されるかを明らかにするためのデューデリジェンスです。税理士や公認会計士といった税務に関する資格を持っている専門家が行うことが一般的なデューデリジェンスです。

ITデューデリジェンス

最近ではICTやIoTなど業務を行ううえでITの活用は欠かせなくなってきています。そんな中で実施するITデューデリジェンスは、ITの評価と評価結果をもとにしたITに関する統合計画の検討・策定に必要な情報・懸念事項を把握します。ここを軽視してしまうと統合がうまくいかなくなる可能性があるうえに、場合によっては追加のIT投資が必要になってしまいます。

その他のデューデリジェンス

技術デューデリジェンス

技術や設備などといったハード面に焦点をあてたデューデリジェンスです。企業買収などの場面においてはその企業の重要な有形固定資産や保有する技術がどのような価値を生み出すかといった「技術の能力」について調査・分析を行います。品質や試験・実験、融資獲得力や保険引き受け能力などについても検討が行われます。

知財デューデリジェンス

知財デューデリジェンスは知的財産権について調査を行うものであり、対象となる企業の有している知的財産権がどのような価値を生み出すのかなど、行っている知的財産活動に関してさまざまな観点から分析を行います。商品や設備などと異なり、単純な金額を付けづらいことから専門家による知財デューデリジェンスが必要になる場面もしばしばあります。

顧客デューデリジェンス

顧客デューデリジェンスはM&A場面において多く採用される手法ではありませんが、新規顧客や既存の顧客など顧客に対しての調査・検討・分析を行い、リスク事項が潜在していないかを把握します。不特定多数の顧客を抱えるBtoCよりも、特定の上得意先を抱えるBtoCビジネスの方が活用する場面は多いでしょう。

環境デューデリジェンス

エコやクリーンが叫ばれる昨今では、CSRの観点から環境問題についても検討・対策を講じる必要があります。特に工場や研究開発施設などを保有している企業の場合、環境汚染や土壌汚染、大気汚染などへのリスクを常に抱えている状態です。これらのリスク事項について調査・検討を行い、リスクの発生可能性とそのインパクトを把握するために実施されます。

人権デューデリジェンス

人権デューデリジェンスはその対象企業による人権侵害の有無を調査するものとなっています。特にグローバルに展開されている企業で途上国に現地工場を保有しているという場合には就労条件が問題になるなど、労働者に対するものが主な論点になります。法規的な部分はもちろん、強制労働や児童労働、各種ハラスメントなども対象になります。

M&Aならよく見る?セルサイドデューデリジェンス

M&Aにおけるデューデリジェンスは一般的に買い手側が実施しますが、中には売主側が費用負担をして実施する「セルサイドデューデリジェンス」というものも存在します。売主が専門家に依頼し、自社の問題点や課題、リスクなどを把握し明確化することが可能です。健康診断のごとく自らの状況を詳細に把握することで、M&Aにおける効果的な戦略の策定が実施できるほか、場合によってはM&A以外の選択肢を検討することができ今後の経営に役立つ可能性もあります。

目的に応じたデューデリジェンスを

ここまで述べた通り、一言で「デューデリジェンス」と言ってもその目的はさまざま。そのデューデリジェンスを行うことで自社は何がしたいのか、どういった情報を把握したいのかを踏まえてどの専門家に何を依頼するのか検討しましょう。

M&A成功を左右する
デューデリジェンスにおすすめの
FAS・コンサル会社をチェック

M&A成功を左右する
デューデリジェンスにおすすめの
FAS・コンサル会社をチェック

M&Aの道標となる
デューデリジェンスの
必須ノウハウとは…?

M&Aにおいて必要不可欠とされるデューデリジェンス。調査の内容は各社によってさまざまですが、自社に適切な選択をすることが成功への近道です。
当サイトではM&A成功の鍵を握るデューデリジェンスにおいて、買い手企業が知っておくべき内容をまとめました。デューデリジェンスの依頼先となるコンサル会社や監査法人系FASの選び方についても紹介しています。ぜひご覧ください。