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労務デューデリジェンスについて

労務デューデリジェンスは、人事労務の分野において行われる監査や調査のことを指します。ここでは労務デューデリジェンスがなぜ必要なのか、実際に行われる調査の項目について解説しています。M&AやIPOを実施する前の参考にしてください。

労務デューデリジェンスの必要性

労務では、社員やスタッフの勤務時間の管理や報酬である給与・ボーナスの計算、その他保険の手続きなどが行われます。労務分野へのデューデリジェンスがなぜ必要なのか、具体的に解説します。

企業の労働環境の把握

企業の労務デューデリジェンスは、労働環境を把握しながら労働問題や労働災害の発生リスクを予期するうえで重要なポイントになります。 近年、労働環境に関する意識が向上し、適切に労働環境を提供していない場合その企業の印象は低下します。

イメージの低下は企業の経営にも直結するため、M&AやIPOを行う場合は、その企業が買収に適しているかをチェックする必要があります。 買収後のリスクを避けるうえでも、労務デューデリジェンスが役立ちます。賃金の未払いを残したまま企業を買収すると、買収後に残業代を支払う可能性があり、従業員への説明責任や企業イメージを高める必要性も出てきます。

場合によっては、長時間労働を強いて実績を無理に出させているケースもみられます。相手企業のリスクを事前に把握し、対処可能かどうかを判断するためにも、就業規則と実際の労働状況を確認することが大切です。

労務デューデリジェンスの調査項目

就業規則や労働状況

従業員・非正規雇用の労働者・出向者などを含めて、雇用形態ごとに就業規則が設けられているか、整備状況や実施状況を確認します。 時間外労働や休日労働をどのように実施・管理していたのか、法令違反や労働基準監督署からの調査状況などもあわせて確認を行います。

企業風土

経営理念や社風、組織の体制などが適切であるかを確認します。

賃金制度・退職金

労務において必ず調査しなければならないものが、賃金の支払い状況です。残業代などの未払いが発生していないか。最低賃金が守られているかどうかを確認します。

M&Aにおいては、買収後に賃金の水準を一定にしなければならないため、同業種などとの賃金水準が見合っているかを確認し、退職金制度が設けられているかどうかも調査を行いましょう。

労使協定

労働基準法を超えたところでの労働について、36協定が守られているかどうかを確認します。

社会保険・労働保険

従業員への保険制度が整備されているかどうか、正しい方法で計算が行われていることを確認します。

人事制度や評価基準

人事について、人事考課の実施の有無や状況、評価基準を調査します。IPOを行う場合は特に注意してチェックを行いたい項目です。

ハラスメントや解雇など

企業内でのハラスメント行為について、対処方法や教育制度が整っているかをチェックします。

安全・衛生管理

企業の業務における安全・衛生管理が実施されているかを確認する項目です。

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