デューデリジェンスは専門的な知識が必要とされるため、外部の専門家に依頼するのが一般的です。しかし、コスト削減のためなどから、自社で行うというケースもあるようです。自社でデューデリジェンスを行う場合のやり方や注意点についてまとめています。
デューデリジェンスは、対象となる範囲が広く、1~2カ月という期間で行わなければならないうえ、専門知識も必要となるため、外部の専門家に依頼するのが一般的です。財務デューデリジェンスや税務デューデリジェンスは公認会計士や税理士、法務デューデリジェンスは弁護士や司法書士、ビジネスデューデリジェンスは経営コンサルタントや中小企業診断士、人事・労務デューデリジェンスは社会保険労務士や弁護士、不動産デューデリジェンスは不動産鑑定士や宅地建物取引士、ITデューデリジェンスはシステム監査士やIT技術者、知的財産デューデリジェンスは弁理士や弁護士に依頼することが多いようです。
社外の第三者に評価をしてもらうことで、客観性や中立性が保たれ、M&A実行の可否や買収価格の妥当性なども判断することができます。
しかし、外部に依頼すると費用がかかります。そして、実施するデューデリジェンスの分野や種類が多くなればなるほど、そのぶんコストもかかるということを念頭に置いておく必要があります。
デューデリジェンスにかかる費用を削減するため、買い手企業が自社でデューデリジェンスを行うというケースもあります。例えば、買い手企業と同じ業界の会社を買収する場合、同じ環境にあるため、状況などの分析をすることは可能です。また、自社で雇用している公認会計士や税理士、弁護士がいれば、自社内でデューデリジェンスを行うことができ、コストの削減にもつながります。
セルフ・デューデリジェンスを行う場合、業界構造、競争環境、自社の状況について、客観的かつ冷徹な視点で理解を深めていかなければなりません。そして、自社の戦略が、いつの時点にどれだけの大きさのキャッシュフローを創出していくのか、そこにどれだけの不確実性があるのかを明らかにする必要があります。これを、M&Aにおける対象企業のデューデリジェンスと同じレベルの厳密さと厳格さをもって実施していかなければなりません。
つまり、自社でデューデリジェンスを行うやり方としては、今後の業界構造の変化を見通しながら、そこでの競争環境の変化にも留意しつつ、自社の分析から明らかになる自社の強みを活かして、どのような戦略を、どのように実行していくべきか、自己検証をしていきます。同時に、それがどのような企業価値につながっていくのかも検証する必要があります。
このように、自社でデューデリジェンスを行うというやり方もありますが、財務に関することを自社で行うのは難しく、何か問題が発生した場合には、外部に依頼しなかったことを問われるケースがあります。また、自社で行った調査については、客観性・中立性の確立も難しいため、コストがかかったとしても、デューデリジェンスは専門家に依頼するのが安心です。
M&Aにおいて必要不可欠とされるデューデリジェンス。調査の内容は各社によってさまざまですが、自社に適切な選択をすることが成功への近道です。
当サイトではM&A成功の鍵を握るデューデリジェンスにおいて、買い手企業が知っておくべき内容をまとめました。デューデリジェンスの依頼先となるコンサル会社や監査法人系FASの選び方についても紹介しています。ぜひご覧ください。